2003 LAS VEGAS ディーラー研修
第六週目



8月14日(Thu) 第36日目

 とうとうこの日がやってきました。スクール卒業の最終試験です。これをパスしないと、卒業証書はもらえませんし、試験をパスできないという事は、すなわちこの研修そのものの失敗を意味します。スクールではこの試験を「オーディション」と呼び、実際にカジノで採用試験として行われるスタイルと同様に行われます。そのため、このオーディションを受ける者は朝10:00までにスクールへ集合しなくてはならず、遅刻は一切許されません

 今朝は8:30に起床し、9:30には部屋を出てスクールへ向かいました。スクールに到着した頃、ちょうどオーナーのNickが来たのでドアを開けてもらい、しばしの間、最後の自習を行いました。本日、ブラックジャックのオーディションを受けるのは3名。まずはブラックジャック役成立時の配当計算から。次にインシュアランスの配当のつけ方を見てもらい、いよいよピッチングでのゲームとなりました。実はここで、カードの事ばかり気になってしまい、テーブルリミットを間違えるという失態を犯してしまった。また、スプリット時の配当のつけ方も、片方がバストしていたため、そのまま付けてしまい、注意を受けてしまった。しかし肝心のピッチングは、そこそこ上手くいき、スムーズにゲーム進行ができたので、総合的には何とかなりそうだ。

 本当はこの後、引き続きルーレットの試験を予定していたのですが、Nickがどうしても忙しいため、こちらは特別に明日へ延期となりました。その時、肝心のブラックジャックの成績を聞いてみると、「OK。大丈夫だ」と言ってもらえ、最大の難関を乗り越えることができました。しかし、明日もテストなので気を抜かないようにしなくては・・・



8月15日(Fri) 第37日目
 昨日の最終テストが2科目全て終わらなかったので、ルーレットの試験は今日にずれ込みました。昨日は、10:00までにスクールへ行かなくては、テストを受けさせてもらえなかったのですが、今日は昨日の続きということで、こちらで時間を選ぶことができ、11:00からの開始となりました。

 最初はゲーム形式での進行。プレイヤーはNickのみで、意地悪な賭け方もなかったので、何事もなくクリア。次は配当計算で、まだ、今ひとつ頭が回っていないのか、答えを出すのに大分時間を要し、「もう少し早く」と急かされてしまう。「間違えられない」というプレッシャーが、慎重さに拍車をかけていたのだと思う。しかし、やはり間違ってしまっては、早く答えても意味がないので、自分のペースを崩さず進行した。そして、最後にチップ・スタックのプッシング。7本,5本,8本の順に行い、特に最後の8本は美しく決まり、「Fine!」と誉められて本当に嬉しかった
 これにて、スクールでの研修の全てが終わり、奥にあるオフィスにて、その場で卒業証にサインをもらい、無事卒業となりました。そこで、オーナーであるNickに最後のお礼をいい、一緒に記念撮影をして、スクールを後にしました。


この日が待ち遠しかった・・・


Connieにはたくさんお世話になりました

 ダウンタウンで昼食を取り、それから部屋に戻って、しばしの休憩。石田君は今晩、友人のジェシーさんと一緒に17:00から BELLAGIO (ベラージオ)で行われる “K-1” のボブ・サップ戦を観戦しに行くということで、車で彼を下ろし、こっちはその間にPALMSでビデオポーカー。石田君たちは今ごろ “K-1” で熱い戦いを見ているのだと思うが、こちらのポーカーは熱くなるどころか寒くなる一方。とにかく Deuce が全然現れず、これではお話になりません。それでもなぜか “Wild Royal” だけは2回も出ており、このお陰で辛うじて生き残っていました。

 しかしその後、突然「運命の瞬間」が訪れたのです。
 何気なく配られた、”K” のワンペア。もちろん他は揃っていなかったので、このままカードを交換しようとした瞬間、よく見ると “ダイヤのK,Q,A” の三枚が手持ちにあったため、慌ててワンペアを崩し、この3枚残しに変更しました。 そして、カードを交換した次の瞬間、何と画面には “JACKPOT” と表示され、一週間前に初完成したロイヤル・フラッシュが、また目の前に並んでいたのです。いみじくも前回と同じ、ダイヤモンドのロイヤル・フラッシュ・・・。こんなに早く再会できるとは思っても見ませんでした。今回の賞金はちょうど$1,000。前回プレイしていた “ジャックポット積み立て式” の台は賞金総額が$1,200を超えており、30%の課税対象になっていたため、台を変えていたのです。


どうも「ダイヤ」がお好きなようで・・・

 ゲームは終了したのですが、時間が余ってしまったため、コンプで貯めたポイントをホテル内の “ヘア・サロン” に行って消化することに決定。自分の髪が大分長くなっていて、気にはなっていたのですが、元々面倒くさがり屋なので、「このままにしておこう」としていました。ところで、「カジノになんでそんな施設があるの?」と不思議に思う方もいるかも知れませんが、PALMSというホテルのマーケティング対象が「30歳前後のお洒落な世代」となっているため、このような施設が併設されているのです。他にも、クラブやシアターなどもあり、週末の夜は客でごった返す人気スポットでもあります。さて、肝心のヘアカットは、本当にヘアをカットするだけ(笑)のもので、15分もせずに終了。これで$50もするのかと思うと少々ビビッたが、もしや、カリスマ店員の店なのか・・・?

 とにかく、この週末は研修の事を気にしなくていいので、たっぷりと羽を伸ばしたい。


8月16日(Sat) 第38日目

 今日の午前中は恒例となりつつある、プールサイドでの日光浴。午後からは、食事を兼ねて、今月1日にオープンしたばかりの、PREMIUM OUTLET というアウトレット行ってきました。まだ、オープンして2週間しか経っていないせいか、全ての建物にテナントが入っていなかったのですが、それでも週末なので駐車場は満車で、とても混雑していました。ラスベガスでのアウトレットは気候的なこともあり、屋内タイプの作りがほとんどなのですが、このPREMIUM OUTLET屋外に建てられており、店舗以外は屋根がないので、非常に開放感があります。しかし、8月のベガスはとんでもない熱さ。歩くだけでも体力が奪われてしまうので、アウトレットのあちこちに、”霧の水” が吹き出ているパイプがあり、訪れた人はそこに溜まって、軽い水浴びをしていました。ちなみに今日はここで、家族と友人へのお土産を何点か買ってきました。

アウトレット入り口にて

 一度部屋に戻って18:00から車でPALMSへ。もう2回もロイヤルを引いたのですから、帰国も近いし、止めておけばいいのに、下手に分の良いゲームだと知っているがために、ついつい打ってしまいました。案の定、約40分で軽く$100が溶け、2枚目の$100を投入する気にもなれず、サッサと帰宅。明日は、久しぶりにキソさんと会って夕食を食べに行く予定です。



8月17日(Sun) 第39日目

 夕方18:00にキソさん東谷さんと一緒にダウンタウンのMAIN STREET STATION (メインストリート・ステーション) ホテルのバフェを食べに行きました。研修の試験があったため、キソさんチームとは2週間ぶりの再会です。ここのバフェは日本人の口に合う料理が多い穴場的なところ。とはいっても、ダウンタウンの端にあるホテルなので、日本人の姿は皆無でした。今日は腹を減らして望んだせいか、いつも以上に食べた気がします。もちろん味も美味しかったですよ。

 夕食の後はバフェの隣にある、”トリプル7” という縁起の良さそうなバー。このバーはブリュワリーにもなっており、ここだけのオリジナルビールを楽しむことができるのです。まずは、”サンプラー” という5つのオリジナルビールのお試しセットを注文。しばらくして出てきたのは、黄金色や赤茶色のビール。中にはラガーなのか、黒っぽいビールもありました。みんなに酒が入り、これからは熱いカジノトークで盛り上がりました。日本でカジノを導入するならどのようなシステムにするのが良いのか(運営組織や入場制限、顧客管理など)というテーマでディスカッションしたのですが、本当に全員がカジノに対して「熱い気持ち」を持っていて、とにかくそれが嬉しくてたまりませんでした


ビールはいいが、顔が恐いぞ・・・

 今日の最後はビンゴで締めくくり。今までのビンゴの戦績が散々だっただけに、今日も賞金は期待せずに楽しもうと思っていたら、途中の1ゲームだけ、物凄いスピードでリーチが掛かり、「いよいよビンゴ完成か?」と手持ちのシートをじっと睨む。最後の待ちは “G-53番” だったのですが、恐ろしいことにその後は “Gに属する番号” 自体が出てこない。6回も7回も他の番号が読み上げられ、とうとう「ビンゴ!」の発声が他から出てしまいました。無念。

 俺も一度でもいいから「ビンゴ!」って叫んでみたいよ〜(涙)



8月18日(Mon) 第40日目

 研修の荷も下り、最後の一週間を観光気分で過ごそうと思っていたのですが、知り合いの紹介で、「別のディーラーズスクールの体験研修をして欲しい」という依頼があり、今週はそのスクールへ行くことになりました。スクールの名前は ”PCI” といい、ラスベガスでは最も「老舗のスクール」なのだそうです。10:00に訪問してみると、オーナーのJoelが書類の手続きをしてくれました。あらかじめ、自分が研修で行くことを伝えてあったようで、手続きはとてもスムーズに進みました。しかし、「いざ研修」といっても、既に研修済みの自分にとって、何を練習すればいいのか少々迷いました。また、初心者のフリをした方が研修生らしくて良いのかも、ちょっと考えましたが、「全て友達に聞いた」という話にして、何も隠さずにそのまま研修をはじめました。何せこっちの方が気楽ですからね。

 午後からは石田君後藤さんの所へ打合せに行くということで一緒に付いて行くことにしました。打合せの内容は “MORE LAS VEGAS” という、ラスベガスの現地情報サイトの中で、私のように「海外でディーラー研修したい」と考えている人を募って、現地でお世話をするというものです。滞在一ヶ月以上になると、「観光」より「生活」という感覚になってきますから、海外での生活に慣れていない私たちのお世話をしてもらえることは心強いことです。

 打合せが終わり、夕食は先程同席していたジェシーさん(15日に石田君と一緒にK-1を見に行った)のすすめで、一ヶ月ほど前にオープンした Vi Vi An(ヴィヴィアン)という日本食カフェに石田君と二人で行くことにしたのですが、パンフレットに載っていた地図がかなりいい加減で、進めど進めど見つからず、結局とんぼ返りする羽目に・・・。今度会った時に場所を詳しく聞くことにしよう。 



8月19日(Tue) 第41日目

 実は昨晩から、バスルームの電源が全く入らず、今朝モーテルのオフィスから修理担当の者が来る事になっています。しかし、「トイレの水つまり」の件でアメリカのトラブル対応の遅さは実証済みなので、期待せずに待っていました。すると昼頃、ようやく一人の担当者らしき人物がやってきて調べてみるも、直る雰囲気は全くなし。どうやら内部の配線に原因があるようで、結局、電気技師を呼ぶまで発展してしまいました。それでさらに一時間以上部屋で待ち、ようやく二番手の技師が到着。さすがにその道のプロだけあって、壁の中の配線を取り出して何とか復旧。しかし、時間はもう既に15:00。今日もPCI に行かなくてはならないので、慌ててシャワーを浴びて出発。3時間ほどブラックジャックの練習をして帰宅。

 今晩20:00から、ESPN(スポーツを主に扱うテレビチャンネル)で“ワールドシリーズ・オブ・ポーカー” の放映があるので、夕食を買って部屋で待機するも結局放映されず。後から分かったのですが、なんとESPNには2つのチャンネルがあり、どうやらもう一方のチャンネルで放映していたらしく、結局空しい時を過ごしてしまいました(涙)



8月20日(Wed) 第42日目

 今日は何のトラブルもなく、昼前にスクールへ。前いたスクールより建物が狭いせいか、いつも賑やかな印象を受けます。今回こちらには知り合いの依頼で訪れているため、練習風景やオーナーの写真を撮ったり資料を集めたりしなくてはなりません。そのことをオーナーのJoelに伝えると、「よし、それじゃ明日の昼に写真を撮ろう」となり、明日はその時間に合わせてスクールへ行くことになりました。

 夕方にスクールを後にし、そろそろ最終戦も近いPALMSでのビデオポーカーに行くため気合を入れていたのですが、キソさん東谷さんノブさんの三名が今晩フリーだということで、急遽みんなで焼肉を食べに行きました。

 現在、FLAMINGOで働いているキソさんUNLVでカジノとホテルの勉強をしている東谷さんポーカープロを目指して単身ベガスに乗り込んできたノブさん新しいビジネスを展開しようと奮闘している石田君。そして、日本にきちんとしたカジノの在り方を伝えようと、約二ヶ月の研修を積んだ自分。それぞれ違うキャラクターの5人ですが、そこには ”CASINO” という共通のキーワードがあり、みんながその本質に近づこうとしているのですから、自分にも大きな責任とやりがいがあるのだと、熱い気持ちが湧き起こってきました。

 その後、21:00のセッションのビンゴに参加し、最後にビデオポーカーを叩く。実は2回目のロイヤル・フラッシュ以降は全く振るわず、今週だけで$500近くも負けているのです・・・トホホ。
今日も開始早々あっという間に$100を失い、次の$100でようやくDeuceの出が良くなってチャンスが訪れるも、結局4枚は揃わず大負け。先週引当てた$1,000のジャックポットもほとんど失ってしまい、どうやら本当の地獄モードに入ってしまったようです。




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