2003 LAS VEGAS ディーラー研修
第五週目



8月7日(Thu) 第29日目

 昨日のプレテストで、「全然ダメ」の大打撃を受け、落ち込んでいるところに、さらに追い打ちが・・・。前にも予定していた通り、オーナーのNickによる最終試験は毎週木曜日だけ行われるという事だったので、「今週はルーレット、来週はブラックジャック」と思い、張り切ってスクールへ行ったのですが、何と「朝10時に来ないとダメ」だと言われ、結局何も見てもらえませんでした・・・。他の生徒とは違って、帰国日が既に決まっている自分にとって、このようなアクシデントは致命的です。技術が未熟で不合格になるのならいざ知らず、こんな下らない理由で目的達成が阻まれるのは納得がいかない・・・。まだ来週があるので、試験はその時に、という事で折り合いをつけたが、もう次はない。結局、今日の収穫はゼロ。ピッチングの練習を約4時間こなしただけだった。



8月8日(Fri) 第30日目

 実は昨晩、夕食を食べに行った KABUKI という日本料理屋で、たまたま日本人のラスベガス現役ディーラーの方とお会いすることができ、その流れで、今日午後からその方の家へ訪問して、いろいろとお話を聞かせてもらいました。彼女の名前は絹子さんといい、イタリア人のご主人さんと結婚してラスベガスに住んでいたのですが、専業主婦でずっと家に篭っているのがつまらなくなり、ディーラーになって「小遣い稼ぎをしよう」と思ったのが、この道に入るきっかけだったそうです。それから、色々と体験談やインタビューをして、夕方スクールへ向かいました。メニューはもちろんピッチングのみ。どうも研修の途中から手首をひねる癖が付いてしまい、これを直すために、またおさらいする事になりました。


絹子さんと一緒に

 スクールが閉まる21:00に部屋へ戻り、食事の後はいつものごとくPALMSへ。もちろん研修が一番大事なことは言うまでもありませんが、こちらにはもう一つの「ロイヤル完成」という、滞在中に成し遂げなくてはならない目標があるのです。最近はスクールでの調子が悪いせいか、こちらの調子も今ひとつで、何とか負けずに現状維持をしているという感じでした。今日は台についてしばらくすると、”Wild Royal” (Deuceを含んだロイヤル・フラッシュ)が完成し、なかなかのスタート
 しかし、その後は全く手役に恵まれず、Deuceの出現もまばらになっていき、「いよいよ厳しくなりそうだな・・・」、と感じたとき、大きなチャンスが到来しました。初めに配られたカードは “ダイヤの10,J,K,A” の4枚。とはいえ、このような手札には、すでに何十回も遭遇しており、いつもの如くほとんど期待しないで “DRAW” のボタンを押し、カードを交換した次の瞬間、信じられない光景を目の当たりにしたのです。そう、今まで待ち焦がれていた “ダイヤのQ” がそこにはあり、生まれて初めてロイヤル・フラッシュが完成した記念すべき日となったのです。


ついにこの日がやってきました

 ジャックポットが発生するとマシンが止まり、ほどなくしてアテンダントが台までやってきて、支払額の確認をしてから、賞金を取りに一度台を離れます。この間は、ゲームもできないので、ただ黙って初めて目の当たりにするロイヤルを眺めていました。ビデオ画面に表示された無機質なカードの画像にも関わらず、今日は到底そのように見えなかったのが印象的です。約1ヶ月で100,000ハンドも叩いてようやく出した意地のロイヤル。アテンダントからは、賞金$1,000とジャックポット積立分の$64をハンドペイ(手渡し)でもらいました。ようやく一つの目的が達成されたかと思うと、ちょっと力が抜けました。



8月9日(Sat) 第31日目

 夕方、今滞在初めて Gambler’s General Store に足を運びました。いつもなら滞在期間が短いため、すぐに行っていた所ですが、今回の長期滞在ではそこまで急ぐ必要がありません。というより、あまり足繁く通うと、どんどん買い物をしてしまって、収拾のつかない結果になってしまうので自重したわけでもあります。(ホントか?)
 ちなみに今日は土産用としては定番のカジノのユーズドカードと、ブラックジャックのミニサイズ・レイアウトを購入してきました。


縦60cm、横80cmほどのレイアウトです

 夜はGOLD COASTで恒例の、一度も当たった試しのないビンゴ。一般的に、どこのビンゴホールでも通常のビンゴゲームとは別に “ジャックポット・ボーナス” を設けていることが多く、ここでは、 “CASH BALL” というボーナスルールがあります。これは、プレイするセッションで一番初めに選ばれた番号で「ビンゴ」を完成させると、ボーナスが貰えるというものです。(1セッションは10ゲームあり、2ゲーム目以降で適用される) しかし、うまい具合にボーナス番号でビンゴの待ちになり、なおかつビンゴを完成させるのは「至難の業」であることは言うまでもありません。というか、ビンゴ自体に「業」などないのだが・・・(爆)
 本日のCASH BALLは “N-31番” で、当然何事もなくゲームは進んでいったのですが、 “9-PACK” と呼ばれる、「3×3の正方形」を作るビンゴで、何とそれが出てしまったのです。とは言っても当然自分のことではありませんが・・・。今日参加していた21:00のセッションは、ジャックポットが最も貯まっていたセッションで、何と賞金は$7,812 (約94万円)。こりゃ、スゴイことになっちゃったよ〜。さすがに普段は淡々と進められるこのゲームも、この時ばかりは周りにもどよめきが起こり、ラッキーな勝者には拍手が送られていました。
 結局、他人のジャックポットを拝見しただけで終わったビンゴホールを後に、向かいのPALMSへ。

 こちらは昨日、奇跡のロイヤル・フラッシュを叩き出しましたが、また一から再スタートです。あと残り2週間の滞在で、もう一度ロイヤルに再会できるかの挑戦が始まりました。しかし、今日はパッとせず、マイナス$20の所であっさり退散。なぜなら、この後ラスベガスで初めてのライブポーカーに挑戦するからです。パートナーの石田君は毎日のようにライブポーカーで戦っており、前々から私が「もしロイヤル引いたら、俺もライブポーカーデビューするぞ」と言っていたため、このような運びになった訳です。

 行ってきたカジノはMONTE CARLO (モンテカルロ)のポーカールームで、ゲームは “7-STUD の $1-5” という、最もレートの低いテーブル。ところが、ライブポーカーは知っての通り、直接プレイヤー同士が戦うため、緊張感は他のゲームを圧倒します
 序盤は展開を読むため、ほとんどのゲームを降りて他のプレイヤーの打ち方を見ました。参加者は皆、手馴れた感じで、レイズ(賭け金のせり上げ)するにも間髪がなく、リズムよくゲームは進んでいきます。感覚的には「急流の川に体ごと入って、水の流れに流されずに対岸まで行くような感じ」で勝負に臨まなくていけません。

 そのうち、見せ札に “A” のペアが揃い、自然と仕掛ける形となりました。残った相手は一人で、ヘッズアップ(差し)状態に。どうやら相手はフラッシュ“J” のワンペアとの天秤で向かってきているようで、次のカードでこちらに “A” が3枚揃ったにも関わらずコール。最終的に相手は “J” が3枚までで、口惜しそうにダウン。この勝負が記念すべき初勝利となりました。しかし、それからはまた「勝負に程遠い」手ばかりが配られ、降りてばかりのジリ貧状態に。レートが低いテーブルなので、ハウスに取られるコミッションの割合が高く、時間とともに手元のチップは目減りしてきました。

 そして、とうとう勝負手が入り、今日の山場を迎えました。手持ちの札は “9と7” で3枚目、4枚目のカードもそれぞれ “9と7”ツーペアが完成。他のプレイヤーはペアを持っていなかったので、ここでベットして周りを降ろそうとしたのですが、これが大失敗。結局そのラウンドで降りたのは一人だけで、4人もついてきてしまい、あえなくフラッシュに負けてしまいました
 その後は立て続けに裏目モードが発動し、勝てそうな手で負けてしまい、すでに手持ちのチップはたった$20という最大のピンチ。また途中、手持ちの4枚であっさり “4の4 of a Kind” ができ、小額ながらジャックポットを貰えることを聞いていたので楽しみにしていると、ポット(場の賭け金)の総額が$20に達していないと「権利がない」と言われ、大ショック!!結局、$56のご祝儀をドブに捨ててしまいました・・・(涙)

 これを最後に、「もうチャンスはないな」と自分の中では十分承知していましたが、最後の1時間ほどはガチガチのゲーム回しで$30だけ残して生還。部屋に戻った後、疲れがドッと出てきて、ライブポーカーの凄まじさを体感しました。

 こう考えると、ビデオポーカーって楽すぎるなぁ・・・



8月10日(Sun) 第32日目
 昨晩は朝5時までカジノに居たため、昼過ぎまで熟睡。午後は敷地内のプールでのんびりとして、夕方カジノへ。こう見るとえらくリッチな生活をしているように見えますが、実はその通りなんです。(大ウソ) というより、逆に「他に趣味がないのか」という空しさが哀愁さえ感じさせます・・・

 また、夕方から懲りずにビンゴをするが、案の定、負けて終了。実は今回リーチがかかって、ドキドキした局面が一度だけあったのですが、参加人数が多いため、少しでも無駄な番号が出てしまうとすぐに先を越され、勝利がさらわれてしまいます。

 夕食は腹が減っていたので、久々にPALMSバフェへGO!
 “モンゴリアン・バーベキュー“ という焼肉の味付けが非常に美味しく、こればかりを食う。とても辛いのだが、味付けが日本人の舌に良くなじみ、ご飯もすすむ。最後にポーカーを2時間ばかし打ってご帰宅。いよいよ明日からはスクールの卒業試験に向け、追い込みが始まる。運命やいかに。


8月11日(Mon) 第33日目
 今週でスクールの研修も最後です。木曜日の卒業試験に向け、ブラックジャックの徹底した練習を行いました。約6時間ブッ通しで、ピッチング実践形式での練習の繰り返し。まだ、右手の指がきちんと伸びていないため、カードがまっすぐ飛ばないか、スリップして飛ばし損ねてしまう。明日はこの点を直していきたい。


8月12日(Tue) 第34日目
 今日は14:00から一時間ほどルーレットの実践練習で、チップのプッシング配当計算の復習を行った。配当計算は実際にチップを出すときに、大きい額のチップを混ぜて支払うことがあり、その時はチップの単位を換算しなくてはなりません。
 その後、スクールの閉まる21:00まではずっとピッチングをやり続ける。何とかスムーズに飛ばせるようになってきたが、力が入り過ぎており、長時間練習すると肩が痛くなる。(もしかして、ビデオポーカーのやりすぎかな?) あとはもう少し、投げる勢いと精度をつけたい所。この調子なら、何とかあさっての試験にも間に合いそうだ。


8月13日(Wed) 第35日目
 卒業試験を明日に控え、練習できるのも今日だけとなってしまいました。もちろん、ひたすらピッチングの練習を繰り返し、ゲーム進行には影響ないレベルまでにはなった。ただ、力はまだまだ入っており、「ぎこちなさ」が残っているのが気になる所。帰り際にConnieにゲームを見てもらい、一応「大丈夫だ」と言ってもらえたので、ホッとした。明日は朝が早いので、早めに寝るとする。



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