2003 LAS VEGAS ディーラー研修
第一週目



7月11日(Fri)[日本時間] 第1日目
 いよいよ待ちに待った、”ラスベガス ディーラー研修ツアー” が幕を開けました。天気は快晴で、すがすがしい札幌市内。

 まずは12:25発の成田行き飛行機に乗るため、一路、新千歳空港へ。空港では早めにチェックインを済ませ、お土産を何点か購入。さて、フライト時間が近づき、飛行機に搭乗しようとしてビックリ! 飛行機の機体が異様に小さいではありませんか。都心とアクセスが悪く、国際線目当ての乗客しかいないであろう成田行きは、60人乗りのミニ飛行機(仮称)だったとは・・・。

 ということで、いきなりアメリカ国内線のようなミニ飛行機に乗り、一時間半ほどで成田へ到着。こちらも天気は良かったけど、さすがに関東は夏らしい蒸し暑さで肌がベトついていました。

 成田では今回現地で一緒に過ごす、元同僚の石田君河野さんがすでに待っていて、軽食を取りながら久しぶりの再会に話が弾む。彼らは去年すでにディーラー研修を受けており、今回はバケーションでの訪問です。15:00過ぎ、彼らの飛行機が先に出発するため、一度分かれてシャトルバスに乗り第1ターミナルへ移動。

 今回の滞在は約6週間なので、30日FIXの航空券は買えず、60日FIXシンガポール航空でまずは乗り換え地のロサンゼルスまで行く。日本以外のアジア系航空会社は今回初めての利用なので、どんな感じかちょっと楽しみです。

 国際線の出発は18:45でしたが、少し遅れて19:00過ぎに離陸。機内は快適で、アテンダントの方達もしっかりとしていて好感が持てました。とは言っても、エコノミーの座席がキツイのは万国共通ですが・・・

 ちなみに、本日取れた仮眠時間は約2時間半。まぁ、標準的な時間ですね。


機内で頼んだ、シンガポールスリング


7月11日(Fri)[米国時間] 第2日目
 ロサンゼルス到着は定刻通り12:50。次のラスベガス行きの乗換えまで、2時間以上あるので余裕かと思いきや、ここで大トラブルが・・・ 

 というのも、私の大嫌いな入国審査で案の定、1時間以上も待たされ、入国早々イライラモードに突入。そのうえ、乗換えまでの時間が少ないことを空港職員に訴えるも、「ちゃんと乗り継ぎできるから大丈夫だ」と、けんもほろろに突き返される。オイオイ、あんた達はこっちを待たせても、飛行機は待っちゃくれないって!

 ようやく入国審査が終わるも、ロサンゼルスの巨大な空港は8つのターミナルがあり、乗り継ぎ便であるアメリカウエスト航空のカウンターまでは3ターミナル分移動しなくてはなりません。そのうえ、恐ろしいことにシャトルバスは逆周りでしか運行しておらず、時間が迫っている手前、荷物を抱えたまま走っていくハメに。

 何とか搭乗手続き締切りの30分前ギリギリに、目的のターミナルに到着し、一目散にカウンターへ行くと、手渡されたチケットに ”820” の数字が。「一体これは何だ?」と係員に尋ねると、なんと「Too late (遅すぎ)」だとか言われ、「夜8:20の便に乗ってくれ」とさ。って今、何時だと思っているんだよ!

 それで結局15:30の便は、20:30まで遅らせられ、初っ端からブルーな気持ちで一杯にさせてくれました。そのため、先に出発している2人に、遅れることを連絡しようと公衆電話から彼らの持つ国際携帯に電話をかけたのですが、これが全く繋がらない・・・

 もう、どうしようもないので、すがる気持ちで近くのカウンターにいた、サウスウエスト航空の係員である Patty に話し掛け、15分ほど一緒に電話機と格闘。しかし電話はかからず、あきらめて今日搭乗する、アメリカウエストの出発カウンターまで行き、先方の空港へ連絡だけでも入れてもらえるよう要請しました。それでも、無事伝わる保証は全く無く神のみぞ知ると言う始末。本当に何から何までも最悪。でも、親切に助けてくれた Patty には心から感謝しています。

 さて、結局5時間も待つハメになったので、まずは仮眠を取る。こんなに時間があるのなら、一度空港を出て、近くを散策するのも面白いが、肉体的、精神的に落ちている今の自分にそんな余裕はない。もちろん、仮眠と言っても到底、そう呼べるものではなく、30分もしないうちに目覚める。これを何度か繰り返して、19:00に空港内のマクドナルドで夕食。空港内の飲食店はどこも高く、入る気も失せる。(気分の悪い時だったので、余計しゃくに障る)

 ようやく搭乗の30分前になり、今回、自分と同じく15:30の便に乗り遅れて、この便に回されたフランス人の女性としばし歓談。何でも今回のラスベガス行きはボーイフレンドに会うのが目的らしく、そのうえ、明日にはすぐ出発しなくてはならないと聞き、気の毒に思えてしまった。アメリカ西海岸最大の空港の割には、乗り換えのある乗客には大層冷たい所だ。もう少し、イミグレーション(入国審査)のシステムを工夫すべきではないだろうか。(たとえば、乗換えをする者、しない者とで審査レーンを使い分ける、とか)

 何だかんだで、21:30にようやくラスベガスに到着。街の風景がきれいな夜景だったのが、せめてものなぐさめか。しかし、16:30に待ち合わせするパートナー2人の姿は当然無い。結局、電話もうまくかからないので、前回のベガス訪問でお世話になった、現地在住のキソさんへ電話で相談してみることにしました。どうやら、携帯電話のかけ方にトリックがあり、常に国際電話をかける手順でダイヤルしなくてはならない、ということが分かりました。それで、ようやく石田君と連絡がとれるようになり、レンタカーで迎えにきてもらう事に。なんとか今日の宿であるWESTWARD-HO (ウエストワード・ホー)ホテルに到着することができました。


夜景に出迎えられるとは・・・

 旅行にトラブルはつきものだけど、いきなりこれじゃ先が思いやられるな、全く・・・


7月12日(Sat) 第3日目
 昨晩泊まったWESTWARD-HOホテルは、俗に言うモーテル形式のホテル(部屋の手前まで車で乗り付けられるホテル)で、これから車で移動する私達には非常に便利。しかし、冷蔵庫などの設備がないので、残念ながら一泊だけの宿泊となった。

 朝食はチェックアウト後の11:00に同ホテル内のカフェにて取る。ドリンクとして頼んだ ”バニラシェイク” はなかなかの一品。サラッとした飲み心地が良かった。その時、河野さんが頼んだ ”バナナワッフル” があまりにも巨大で、隣のテーブルにいた客に笑われていました。


顔ぐらいの大きさがあるな〜

 食事後はカジノで一時間ほど遊ぶ。手始めにチャレンジしたのは、前回の滞在で一番やられたビデオポーカー。前回での負けを機に、徹底的に研究してきたが、今日はたった$20だけの投入なので、10分ほどで終了。実はこの日の朝、散歩がてらに一回ここのカジノを見て回っており、その時一台のマシンでロイヤルフラッシュを出してる人を目撃していて、「今日はラッキーかな?」と思っていたが、どうやら単なる思い違いだったようである。

 次に石田、河野のご両人と一緒にブラックジャックのテーブルへ。このテーブルのオバサンディーラー窒息しそうなほど強い。初回の21点に始まり(この時点で嫌な予感はしていたが)、バストしたのは6デッキゲームでたったの2回私達は何て不幸な台に座ってしまったんだ!

 ということで、そそくさとカジノを後にし、今日の目的である、これから約6週間滞在する宿を探しに車を走らせる。去年、彼らがディーラー研修のために2ヶ月間滞在していたParadise Road(パラダイスロード)沿いのモーテルを順番に当たっていくが、一泊約$60とかなりの値段。結局、去年と同じ宿であるBUDGET SUITES (バジェット・スイーツという大型のモーテルに決め、43泊をここで過ごすこととなった。

 ちなみに料金は2人部屋で$1,263。ウィークリー(週単位)、マンスリー(月単位)での割引料金が適用されるため、日割りで一人頭$30弱となりました。部屋にはベッドルームをはじめ、バスルーム、テレビ、エアコン、冷蔵庫、オーブン、コンロも全て備わっているから、工夫次第でいろいろな生活が楽しめそうです。しかし、ハウスキーピングのサービスは取らなかったので、ベッドカバー等の交換や部屋の掃除は全てセルフで行わなくてはいけません。なお、ランドリーは敷地内に設備されています。

 宿が決まれば、次は食品をはじめとする、生活用品の買出しです。TARGETというディスカウントストアで、ミネラルウォーターや洗剤、タオル、ティッシュにゴミ袋などを一通り買い揃えて帰宅。とにかく宿が決まった安心感からか、この後すぐに全員眠ってしまう。

 目が覚めたのは夜9時過ぎ。まだ夜は長いので、今朝の負けを晴らすべく、ダウンタウンへ。CALIFORNIA (カリフォルニア)というハワイアンの常連が多いカジノのフードコートにて夕食を取る。そこには ”BENTO” という、なにやら怪しいメニューがあったので、これを注文してみた。しばらくして出てきたのは、一枚の皿の上にライステリヤキビーフチキンカツハム(スパムという名前らしい)が乗ったセット。中でもチキンカツは肉こそ薄いものの、逆にクリスピーな食感が楽しめた。食事を済ませて、斜め向かいの老舗カジノHORSE SHOE (ホースシュー)に舞台を移す。

 パートナーの二人は去年の滞在でライブポーカーの面白さにハマり、一目散に7スタッドポーカーのテーブルへ。自分は少し歩いてPLAZA (プラザ)ホテルへ移動し、少しでもペイアウト(払戻し)率の高いビデオポーカーの台を探す。じっくりと台を見定めたあと、一台のマシンへ。5セントDEUCES WILD(デューセズ・ワイルド)というゲームに$20を投入。さすがに慎重に台を選んだせいか、たった$20でも2時間以上楽しめた。結果的には全て無くなったが、ロイヤルフラッシュの両面待ちなどのチャンス手も出現し、期待の残るものだった。また、明日も挑戦しよう。


7月13日(Sun) 第4日目
 今日も、昨日に引き続きダウンタウンへ。パートナーの二人は各カジノでスロットクラブのカードを作ってそれらを集めているらしく、まずは、ダウンタウンのカジノを一通りめぐる事に。巨大ホテルが立ち並ぶ、ストリップ通りとは違い、こちらのカジノ群は密集しているので、そんなに大変ではない。


ダウンタウンにて

 その後、昨日楽しませてもらったPLAZAビデオポーカーに再挑戦。しかし、今日は全く役が揃わず、30分ほどで終了。あまりにも不甲斐ない結果にウンザリ

 さて、夕方に一度部屋へ戻り、今年の2月以来、久しぶりに会うことになっているキソさんを待ち、再会を果たす。前回会った時、彼はダウンタウン4 QUEENS (フォークイーンズ)インターン生として働いていましたが、三週間ほど前からストリップFLAMINGO (フラミンゴ)に新しく勤め始めたそうです。仕事の内容はホテル内の ”バフェ” と ”カフェ” での現金以外の売上日計を算出し、データとして管理するというものです。

 一通り二人で話をした後、今回の仲間である石田君河野さんを紹介しながら、夕食を食べに行きました。「和食が食べたい」というみんなの意見で、向かった先は車で5分ほどの場所にある ”戸越” という定食屋。こちらに来て、まだ野菜を取っていないことを考え、”野菜炒め定食” を注文。少々、もやしの量が多かった気もするが、きちんと野菜が取れたので良しとしよう。

 夕食を食べ終え、私達一行はキソさんの勤め先である、FLAMINGOへ。石田君が目当てにしていたライブポーカーは席待ちで、どうやら30分以上待たされる事が分かり、断念する結果に・・・。河野さんは私と一緒にクラップスに挑戦。彼女は初めての挑戦なので、簡単に説明しながらプレイ。$20だけの投資だったが、ダイスを投げるシューターの出目が良く、お互いにちょっとだけチップを増やす事ができた。本当は自分がシューターになれればもっと楽しかったんだけど。

 夜も9時を回り、キソさんの仕事が朝早いため(普段は朝4時起きらしい)この辺で解散と思ったが、キソさんの提案で「夜景の穴場に行ってみない?」と誘われ、満場一致でGO! 車で約20分走った所に大きな教会があり、そのそばにある小高い坂の上から見えた夜景は絶景でした。右から左へと光の帯が続き、その中央にストリップのホテル群が一列に並んでいるのです。あまりにもまとまったホテルを見て、この街が自分の物ではないかと錯覚してしまう位でした。

 素晴らしい夜景を満喫したあと、帰り際にスーパーで食料を買って解散。今日は充実した一日を過ごすことができました。


7月14日(Mon) 第5日目
 週が明け、いよいよ今日からディーラー研修のスタート。朝10時過ぎにスクールへ向かう。

 まずは、オーナーのNick約半年ぶりの再会パートナーの二人は去年ここで研修していていたので、Nick とは一年ぶりの再会となりました。入学の手続きは今年2月の滞在ですでに行っているので、すぐに研修開始。とはいっても、一般的にディーラーズ・スクールでは、画一的なカリキュラムありません

 大体の流れとしては、最初に講師の先生から ”基本技術” を学んで、自己練習を行い、その後、生徒同士で実践形式”プラクティス(練習)” を重ね、時折、先生が開く、ルールや手続きなどを説明する ”クラス” に参加し、その他に計3回のペーパーテストを受け、最後にNickが行う ”オーディション” と呼ばれる試験に合格すれば卒業できます。

 今回の研修科目として選択したルーレットブラックジャックは、当然日本でディーラーとして働いていた以上、それなりの自信がありましたが、ここでは当然、基礎からはじめる事になります。まずは、ブラックジャックで最初にして最大の難関とされるピッチングの練習からスタートです。ピッチングとは2デッキ(組)以下のカードを手で持ち、指で弾いて配る技術で、カードシューという専用の箱を使ってしか配ったことのない自分にとっては新しい技術となります。ところが、困ったことに昔からカードを持つ手が逆利きだったため(右手でカードを持ち、左手で配る)、それも同時に替えなくてはいけなくなりました。

 とはいえ、まだ初日なので軽めに練習をしておいて、続けてルーレットの練習を行う。ルールについては経験者ということもあり、軽く終わらせて配当計算に移る。これも日本で経験済みなので、そんなに大変ではないが、少々忘れた部分もあるので、きちんと思い出す必要がありそうだ。次にテーブル上でのチップの回収と配当の仕方で、これには少々てこずった。客に背を向けないように左右の手の使い分けがあり、これを間違えると厳しく注意される。また、回収したチップを手から手へ直接重ねると、手を叩かれ怒られる。どうやら、テーブルに一度チップのスタック(重ねた山)を置かなくてはいけないそうだ。

 そうこうしているうちに3時間が過ぎ、昼食を取りに行く。ちなみにこのスクールは平日の10〜21時までオープンしていて、入退室は自由。毎回ノートに入退室時間と練習科目を記入しておく。参考までに、ブラックジャックを例に取れば、90時間のトレーニングを積むことをネバダ州では推奨しているようです。

 第2部は16:00から開始。この時間帯は鏡を見ながら、ずっとピッチングの練習のみ。まだまだ思うように手元がコントロールできないが、たまにカードが真っ直ぐきれいに弾けた時はちょっと気持ちいい。19:00過ぎに仲間に迎えに来てもらい、夕食&カジノでダウンタウンへ。今日も昨日と同じビデオポーカー(DEUCES WILD)に挑戦。初めてWILDが4枚揃う、4Deuces (200倍)を引き当てた。とはいってもデノミ(賭け金の単位)が5セントなので、賞金は$50ささやか。いつかはロイヤルフラッシュができないかな?


7月15日(Tue) 第6日目
 昨日からディーラー研修が始まり、今日も朝10時からスクールへ。昼食までの3時間はルーレットの練習をする。今日はオーナーの Nick が直々に配当計算のコツや、チップのスタックを送るテクニックプッシングという)を教えてくれた。彼はとても職人気質が強いようで、常に美しい手本を見せてくれる。


ルーレットの練習中

 ランチはアメリカらしくハンバーガーを食べ、夕方、再度スクールへ行く。午前中はルーレットを練習したので、午後はブラックジャック。練習はもちろんピッチングに終始し、少しずつカードを弾く感覚を掴めてきたが、手首が徐々にずれていたりと、まだ先は長そうだ。最後に他の生徒と一緒に実践形式でゲームを行う。ただこちらは、カードシューを使ったシューゲームなので、配るのは簡単。カードの置き方や片付け方の指導を受けたが、問題という程ではなさそう。


7月16日(Wed) 第7日目
 午前中にスクールへ行き、13:30までトレーニングを行う。どうやら、昼食前にルーレット昼食後にブラックジャックという時間配分が良さそうだ。しかし、ルーレットの講師は昨日から夏休みを取ってしまったため、分からない所は Nick に教えてもらうのだが、彼は他ゲームでのアドバイスや、電話応対、新入生の受付に忙しく、なかなか時間が取れない。そのうえ、ルーレット自体があまり生徒のいない種目なため、結局ほとんどの時間が自習となった。今日覚えた目新しい内容はLAMMERと呼ばれる、チップのスタック単位での金額を示す目印くらいで、その他に覚えることはほとんど無いようだ。そのため、これからはブラックジャックを中心に練習しようと思う。

 昼食はスクールから車で5分ほどの場所にある、SAHARA(サハラ)ホテルへ。というのも、去年パートナーの二人が滞在中、お世話になった後藤さんという方と面会する予定があったからです。後藤さんは元々、ラスベガスで行われていた、エルビス・プレスリーのショー日本人向けのツアーとして企画し、その成功を機に、奥さん一緒に移住してきたというわけです。現在はラスベガスで日本人がビジネスを始める際のコンサルタントをされていて、観光用フリーペーパー ”オアシス・ラスベガス” の発行も行っています。カフェでは「あれから、もう一年が経ったなんて早いね〜」と久しぶりの対面に話が咲き、終始和やかな雰囲気でのランチとなりました。

 さて、夕方からスクールへ戻り、ブラックジャックの練習。ダウンタウンのFITZGERALDS(フィッツジェラルズ)ホテルで12年間ディーラーをしている、現役の Connie から手ほどきを受ける。彼女の口癖は「Softly」。まだまだ指に余計な力が入っているようで、「力まずに優しく扱いなさい」と常に言われてしまう。最後の一時間はテーブル上でのチップや現金の扱い方、また一定条件の時に発声するコーリングの説明を受ける。はじめはキツそうなオバちゃんだと思ったけど、言っている事には説得力があり、「なるほど」と思う場面がたくさんあった。



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