予選(中盤)

さて、序盤に2回訪れた最強の手札「A,A」のチャンスをしっかりと活かして、約7,000点にまで持ち点を積み上げてからは、しばらく様子見の状態が続きました。

特に生き残り人数が減って各テーブルのプレイヤー数を平均化する際に、テーブル移動の対象となる場合があり、新しいテーブルではプレイヤーの癖や傾向、直前までのゲームの展開などが分からず、暗中模索でのプレイとなることから一層の慎重さが必要になるのです。

5台のテーブルで始まった試合が3テーブルまで減った際に移動が発生しました。
手持ちのチップを持ったまま、新しく案内された席へ座ります。

やはりどのテーブルも、チップを高く積み上げて余裕が見え隠れする者と1周分のブラインド・ベットを工面するために何とかチップを手に入れようと必死になっている者に別れ、そういった状況も勝負所の判断に影響を及ぼしていきます。

また、中盤になるとブラインド・ベット額面が相応に大きくなり、下手に参加してしまうとチップを浪費してしまうため、勝負に行くなら「レイズ」で主導権を握り、中途半端な手は全て「フォールド」して最初から関わりを持たない、というハッキリとしたアクションで勝負がもつれ込まないように配慮する必要があるでしょう。

ただ、あまりにも勝負に参加する手札の範囲を狭めてしまうと、ブラインド・ベットだけがいたずらに上がってしまい、結果的に自分の首を絞めることにも繋がります。

そんな折に一つの大きな場面を迎えます。

《状況》
ポジション:HJ(ハイジャック:ディーラーズ・ボタンの二つ手前の比較的有利なポジション)
手札:A,10
持ち点:7,500点

私の一つ手前のプレイヤーがブラインド額の800点をコールした場面。

彼のコールが怪しくも(良い手を持っていても、わざと弱く見せかけて後々急襲を掛ける可能性)ありましたが、手札は勝負に相応しいので「オールイン」を宣言!

全員フォールドでゲームから降りてくれることを期待したものの、意外な場所からコールの発声が・・・

ビッグ・ブラインドのポジションの初心者くさい「ヒゲ親父」が「いいやコールしちまえ」的なノリで勝負を受けてしまいました。

最初に800点をコールした人は、希望通りフォールドしてくれたので一騎打ちです!

《プリフロップの勝率》
 自分:A,10(勝率60%)
 ヒゲ:K,6(勝率40%)

最初の場札3枚(フロップ)は・・・
 4,6,10

相手に「6のペア」ができたものの、自分は「10のペア+フラッシュ待ち」で勝率が一気にアップしました(自分:87%、ヒゲ:13%)

ヒゲが逆転するにはもう一枚の「6」を引き込む(スリーカード)か「K」でツーペアを作らなければなりません。
しかし、Kは同時に自分のフラッシュも作るため、彼が勝てる札(アウツといいます)はたったの4枚です。

ディーラーがおもむろに次の場札(ターン)を開いたとき、悪夢が訪れたのです。

そう、そのカードは「6でした・・・

しかし、まだ私には「10のスリーカード」「フラッシュ」に良化する望み(23%)があります。
祈るような気持ちで最後の場札(リバー)を見つめていましたが、現実は冷酷に敗者を決めました・・・

この負けで残されたチップはたったの2,100点
この持ち点ではもう、まともな勝負はできず、最後に1回だけオールインするのが精一杯という状況まで叩き落されました。

死に物狂いで、1回だけオールインを試みて相手全員をフォールドさせ、持ち点は3,000点強に。

一定時間置きに行われるブラインド額の上昇(ブラインズ・アップ)が私のビッグ・ブラインド担当の直前にアナウンスされ、800点だった賭け額が1.5倍の1,200点に。
もうブラインド3倍分のチップも持っていないのですから、レイズの作戦も実質効果(相手が勝負するか否かを悩んで、結果フォールドしてくれる期待する展開)を発揮しません。

まだ、30名弱のプレイヤーが残っており、このまま持ちチップを延命する意味合いがなくなってしまったため、心中できる手札がビッグ・ブラインドになった今来てくれることだけを望んでいました。

全員がバタバタとフォールドする中、ミドル・ポジションの一人からレイズが入り、最後に取り残された自分に配られたのは「6,5」という組み合わせ。

「あぁ、これなら悔いはない」と即座に残りのチップ全てを前に押し出し、最期になるであろう勝負を迎えることになりました。

実は、このブラインド額からアンティ(ブラインド・ベットの他に全員一律で払う参加費)が適用され、偶然100点しかもっていないプレイヤー(実は私を奈落の底に突き落とした「ヒゲ親父」)が強制オールインになっていました。

《プリフロップの勝率》
 自分:6,5(勝率31%)
 相手:A,Q(勝率43%)
 ヒゲ:9,3(勝率26%)

まぁヒゲに負けても、自分のチップは100点しか失わないので、実質相手は一人です。

《修正後の勝率》
 自分:6,5(勝率41%)
 相手:A,Q(勝率59%)
  ※9,3はコミュニティ・カードに出現しない。

さぁ、大方の勝利が確定するフロップです・・・

 フロップ:10, 8, 3(スーツは影響なし)

残念ながらフラッシュとストレートの可能性はほぼ皆無となり、勝率は3割に下がりました。

《フロップ後の勝率》
 自分:6,5(勝率31%)
 相手:A,Q(勝率69%)
 ※9,3はコミュニティ・カードに出現しない。

続いて、4枚目の場札(ターン)です。

半ばあきらめの境地に居た自分がゆっくりと開かれたカードの数位を目にしたとき、衝撃が走りました!

なんとその札は四隅に加え、中央にも輝かしいシンボルが刻まれていたのです。

この奇跡的なカードの登場で勝率を85%まで引き上げましたが、最期に「A」か「Q」が出れば、全ては水泡に帰してしまいます。

5枚目のリバー札を開いてみると・・・・・・それは「Kでした。

絵札の出現に一瞬ドキッとしましたが、何とこの勝負で土壇場からチップを7,000点まで取り戻せたのは奇跡的としか言いようがありません。

しかし現在ブラインド額では、30分も持たない金額でしょう。
ここで安心することなく、さらに勝負を続けなくては・・・

ほどなく訪れた次の勝負所は・・・

《状況》
ポジション:CO(カットオフ:ディーラーボタンの一つ手前のかなり有利なポジション)
手札:Q,J
持ち点:約7,000点

手札はそこまで強くありませんが、このあたりでスチール(多少弱いハンドでもレイズを仕掛けて、ブラインド・ベットのプレイヤーに勝負を放棄してもらい、ブラインドを盗み取ること)を掛けておかないと、次のチャンスがいつ来るか分かりません。

果敢にオールインで攻め、スモール・ブラインドはすぐにフォールドしてくれたものの、運悪くビッグ・ブラインドに「K,J」でコールされてしまい、手札で勝負するハメになってしまいました

《プリフロップの勝率》
 自分:Q,J(勝率27%)
 相手:K,J(勝率73%)

今回は相手にドミネイト(Jを互いに持っていて無効化されており、残りのキングが下位のクイーンを支配している状況)されており、圧倒的に不利な戦いです。

とうとう、ここで息絶えてしまうのでしょうか・・・

開かれたフロップは「K, 7, 10」
相手のキングがペアになり、クイーンでの勝ち目はもう皆無です。
唯一残された逆転の光は、10が一緒に出たことによる「A」「9」待ちのストレートだけです。

あと2枚のカードでストレートを完成させられるのは32%。
まだまだ、あきらめるのは早すぎます。

願いをこめて見つめた次のターン札。
何とそこには「9の姿が・・・

いとも簡単にストレートを完成させて勝利し、持ち点は初の大台を超えて15,000点に

その後もCO(カットオフ)からのレイズ者に対して「A,10」オールインで勝利を収め(相手「A,2」で双方役なしで決着)、持ち点はさらに増加して2万点オーバー

つい1時間ほど前まで2,100点しか持っていなかったのが嘘のような展開にも関わらず、比較的冷静にゲームを進めていた自分が頼もしく感じられました。

また、この頃になるとブラインド額の高さに着いていけず、強制オールインとなるプレイヤーも散見し、残すは9名となりました。

いよいよファイナル・テーブルでの戦いが始まります!
このうち5名が予選を突破し、先にチップを失った4名は無情にも会場を後にするのです。

終盤に続く・・・



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