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控除率と控除額 | |
まず、「控除率」と「控除額」についてですが、例えばこのようなゲームをしたとします。 例・・・「6面体のサイコロを1つ振り、前もって宣言した数の目を出すことができれば、賭け金が5倍になって戻ってくる」 このゲームを行った場合、サイコロやサイコロの振り方に全く仕掛けがなかったとすれば、もちろん「6分の1の確率」で成功することになります。 しかし、賭け金の配当は「元金を含めて5倍」なので、上記の確率では不利な勝負となります。 なぜでしょう? もし、このゲームで一度に「1〜6全ての目に同額の賭け金を賭ける」とそのトリックが分かります。 そうすると、その一回の勝負は必ず当たります。(すべての目を買い占めているのですから) しかし、配当が「5倍」なので、結局、「6ヶ所賭けても5ヶ所分の賭け金しか戻ってこない」ことになります。 つまり、この方法はどの目が出ても「必ず1ヶ所分の賭け金を失う」ことになります。 仮に配当が「元金込みで6倍」ならば、「永遠に±0」になり、「7倍の配当」なら、常に「1ヶ所分の勝ち」が得られます。 もう分かったと思いますが、「確率1/6の5倍」では「5/6」にしかなりません。 残りの「1/6=0.166・・・」こそが控除率なのです。(16.67%の控除率) ちなみに「控除率」のことを英語でハウス・アドバンテージまたはハウス・エッジなどといいます。 |
控除の仕方の違い | |
基本として「控除率」が適用されるのは、ゲームの勝者に対する配当からです。 負けた方は何ももらえないのですから、控除することができません。 また、「控除率」適用の仕方には、大きく分けて2通りあります。 [1]あらかじめ控除されていて配当が行なわれているもの。 [2]配当を行なう時点で一定割合の控除を行なうもの。 [1]は例えばルーレットの「赤・黒賭け」のように「賭け金が2倍になる、賭けの成功率が1/2を下回っている」ような場合です。(0や00があるため) 他のカジノゲームも、ほとんどこのスタイルで控除していますが、期待値の計算が容易ではないため、ここでは詳しい解説は割愛させていただきます。 [2]はライブポーカー(人間同士で行なう生ポーカー)などの場合に適用し、勝者が決まった時点で、勝ち金のうちの何%かを控除するといったスタイルです。 <この差は消費税が「内税」か「外税」かの違いに近いものがあります> 参考までに [1]に属するゲーム ルーレット、ブラックジャック、クラップス、カリビアンスタッド、大小など [2]に属するゲーム ライブポーカー、パイゴウポーカーなど ちなみに「バカラ」はプレイヤー側は[1]、バンカー側は[2]と両方の方式を採用していることになります。 |
同じゲーム内でも控除率が違う | |
前章ではゲームによる控除の仕方の違いに触れましたが、実は同じゲームでも賭ける場所によって控除率が「ガラリと変わる」事も珍しくありません。 そして、その控除率を決めるには、必ずある基準があります。 それは、「賭け枠の倍率です」。 「2倍」の賭けよりも「10倍」の賭けの方が控除率が高いのです。 倍率が高いものは、そもそも発生しづらく、仮に当たった時の配当が大きいため、少しくらい配当を減らされても嬉しさのあまり、気になりません。(もちろん錯覚ですが) 配当が付いてから控除されると損した気持ちになりますが、初めから控除されていると、その事にはなかなか気づかないのではないでしょうか? また、どんなに確率の低いことでも、ある時には立て続けに発生することが考えられます。 「宝くじ」のように当選本数が決められているのなら心配いりませんが、カジノゲームにはそのような事がないので、ハウス(お店)にも常に負け続けるリスクが付きまといます。 そのリスクを軽減するためにも、高倍率の配当は多めに控除されているのです。 控除率は「低すぎ」ても、また「高すぎ」てもいけません。 「低すぎ」なら客の有利度が上がり(正しくは不利度が下がる)、ハウスの利益を減らして経営を圧迫しますし、かといって「高すぎ」だと、客は全く勝てなくなり、二度と遊びに来なくなってしまいます。 「客には勝てる可能性を残しながら、少量でもしっかりと配当控除を行なっていく・・・」というのがカジノの経営方針です。 |
ゲームによる控除率一覧 | |
<ルーレット> アメリカン(0・00)・・・5.26% [2〜36倍] ヨーロッパ(0)・・・・・・2.63% [2〜36倍] <ブラックジャック> ディーラーと同条件で行なう・・・約5.50% <バカラ(ミニバカラ)> プレイヤー側・・・・・・・・1.36% [2倍] バンカー側・・・・・・・・・1.17% [2倍] タイベット・・・・・・・・・・14.20% [9倍] <ポーカー> ライブポーカー・・・・・・・5.00% [一般的な所] パイゴウポーカー・・・・・5.00% [2倍] <クラップス> パス、カム・・・・・・・・・・1.41% [2倍] ドンパス、ドンカム・・・・1.40% [2倍] フィールド・・・・・・・・・・・5.55% [2〜3倍] ハードウェイ(6,8)・・・9.09% [8倍] ハードウェイ(4,10)・・11.10% [10倍] エニィセブン・・・・・・・・・16.67% [5倍] 1−1,6−6・・・・・・・・16.67% [30倍] 1−2,5−6・・・・・・・・16.67% [15倍] <大小(マカオタイプ)> 大,小・・・・・・・・・・・・・・2.77% [2倍] 2つのダイス組合せ・・・16.67% [6倍] 2つのダイスぞろ目・・・33.30% [9倍] 3つのダイスぞろ目・・・30.55% [151倍] 倍率は全て元金込みの倍率です。 また、ブラックジャック、バカラ、クラップス、大小の控除率は「(株)データハウス刊 カジノ教本」より引用させていただきました。 |
オリジナル控除率チャート | |
私見ではありますが、控除率の割合によっての評価をしてみます。 控除率 2%以下・・・・・非常に良心的でほとんど五分の勝負。でも配当は2倍。 2〜5%・・・・・そんなに悪くはないが、ダラダラしているとサイフに響く。 5〜10%・・・・決して良くはない。でも倍率が高ければそんなに悪くはない。 10〜20%・・・このような賭けは極力避けるべき。増えてもすぐ減る。 20%以上・・・はっきり言って「ボッタクリ」。倍率高くても当たる前にオケラ。 ちなみに日本の公営ギャンブル(競馬、競輪、オート、競艇)は全て「控除率25%」で、宝くじにいたっては「50%を超える」鬼のような控除率になっています。(約54%) また、麻雀荘ではゲーム代としていくらかの料金を別に払いますが、その金額も控除として考えると、かなりの割合になります。 パチンコ屋は店や時期(キャンペーンなど)によって変動しますが、一説では20%位と言われています。 こう見ると、国内のギャンブルはどれも「ボッタクリ」クラスの控除率ですが、唯一それを和らげているのは、カジノに比べて1回のゲーム進行が遅いことです。 これは、勝負がつくまでにかかる時間が遅いほど、控除される機会が減っていくためです。 それでもやはり、日本のギャンブルはまず全て「ボッタクリ」だと、私は思いますが・・・ |
さいごに | |
結局のところ控除率がある以上、長くプレイをすればするほど持ち金が減る傾向になることは避けられません。 カジノハウス側も設備費や人件費などを捻出するために必要な物だからです。 それでも、どうしても「勝って儲けたい」と考える人は以下の方法を試すのが最も良いでしょう。 [1]プレイ回数を極力減らす。 [2]小額を高倍率に賭け、当たった時点で終了する。(ただし極端に出現率の低い賭けは避けること。先に破産します。) [3]スキル(技術)を必要とするゲームを行い、控除率以上の収益を上げる。 もちろん、必ず儲かる保障はありませんが、控除率を打破する方法としては適切であると考えられます。 しかし、どの方法も強い忍耐力を必要としますので、至難の業です。 それよりも「控除率」の存在そのものを知ることが、冷静にゲームをプレイするのに一役買ってくれるのではないでしょうか? |
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